ICU急性脳損傷患者でのICPモニタリングの実態を国際調査、重症患者では死亡率低下と関連:SYNAPSE-ICU研究
Intracranial pressure monitoring in patients with acute brain injury in the intensive care unit (SYNAPSE-ICU): an international, prospective observational cohort study
背景
急性脳損傷患者における頭蓋内圧(ICP)モニタリングの意義は論争的であるが、世界のICUにおける実施実態は? イタリアPoliclinico San MartinoのRobbaらは、世界42ヵ国146のICUを含む前向観察コホート研究を行い、原発性出血性脳卒中または外傷性脳損傷を有するICU成人患者におけるICPモニタリングの実施と6ヵ月アウトカム(死亡率とGlasgow Outcome Scale Extendedスコア)を調査した。
結論
2018年3月から2019年4月に、4,776名がスクリーニングされ2,395名が研究に含まれた。54%が外傷性脳損傷、25%が頭蓋内出血、22%がくも膜下出血であった。ICPモニタリングの実施には大きな施設間差があり、ランダムに選ばれた2施設間のオッズ比は中央値4.5であった。6ヵ月死亡率はモニタリング患者で34%、非モニタリング患者で49%と、モニタリング患者で低かった。対光反射消失のある患者においては、モニタリングが有意に低い6ヵ月死亡率(ハザード比0.35)、良好な神経学的アウトカム(0.38)と関連した。治療強度(Therapy Intensity Level)は、ICPモニタリングを行った患者で高かった(9 vs. 5)。
評価
世界的調査から、ICPモニタリングの実施には大きな施設間差があること、モニタリングが治療強度と関連し、特に対光反射消失のある重症患者では死亡率の低下と関連することが明らかになった。これらの患者でルーチン的にICPモニタリングが行われるべきか、ランダム化試験による検証が必要だろう。