胸骨圧迫・人工呼吸比30:2の心肺蘇生は難しいが、生存率は良い
CPR compression strategy 30:2 is difficult to adhere to, but has better survival than continuous chest compressions when done correctly
背景
現在の蘇生ガイドラインは、人工呼吸の訓練を受けている救助者では胸骨圧迫30:人工呼吸2の心肺蘇生法(CPR)を、訓練を受けていない救助者には胸骨圧迫のみのCPRを推奨しており、両者を比較したResuscitation Outcomes Consortium(ROC)CCC試験では、生存退院率に有意な差がないことが示されている。University of WashingtonのSchmickerらは、ROCの介入試験3件、前向レジストリ1件のデータで二次解析を行い、院外心停止患者における挿管前治療を30:2または連続的胸骨圧迫に分類し、割り当てられたCPR戦略(前向レジストリにおいては各地域の標準戦略)の遵守率および生存退院率を調査した(n=26,810)。
結論
10,942名が30:2のCPRを、15,868名が胸骨圧迫のみを受けた。割り当て戦略の遵守率は30:2群で48.3%、胸骨圧迫のみ群では58.6%であった。割り当て戦略を遵守した場合、30:2群では生存率が高く(オッズ比1.05)、胸骨圧迫のみ群では低くなった(0.72)。
評価
30:2のCPRは、実施率は低かったものの生存率を改善することが示唆され、訓練を受けた救助者においては30:2 CPRを推奨する現行ガイドラインに裏付けを与えた。ただし、パンデミック禍においては成人患者での口対口(マスク)人工呼吸は推奨されていない(https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2021/03/COVD-19onlinever2.3.pdf)。