敗血症早期治療に関するSEP-1バンドルは臨床アウトカムを改善しない
Treatment Patterns and Clinical Outcomes After the Introduction of the Medicare Sepsis Performance Measure (SEP-1)
背景
アメリカ保健福祉省CMSは、2015年に敗血症早期治療におけるSevere Sepsis and Septic Shock Early Management Bundle(SEP-1)を導入したが、エビデンスに基づいていないとする批判が強かった。University of Pittsburgh のBarbashらは、統合ヘルスケアシステムに属する11病院において救急科を経由し入院した敗血症成人患者(n=54,225)を対象として、反復横断調査コホートによる縦断研究を行い、SEP-1報告義務化が治療パターンとアウトカムに与える影響を評価した。
結論
導入から2年後の時点で、SEP-1指標に変化がみられており、特に最大の変化は発症後3時間以内の乳酸値測定の増加であった(23.7増)。3時間以内の抗菌薬投与(4.7%増)、3時間以内の輸液投与(3.4%増)の増加はわずかであり、昇圧剤投与には変化がなかった。ICU入室はわずかに増加し(2.0%増)、死亡率や退院率には変化なかった。
評価
SEP-1バンドルの導入は、いくつかの指標的手順の早期化をもたらしたものの、臨床アウトカムには影響を与えなかった。ただしニューヨーク州では敗血症バンドル導入が死亡率の改善につながったとする報告もあり(https://doi.org/10.1164/rccm.201712-2545OC)、この種のバンドルの価値が棄却されたとするのは早計かもしれない。