小児の急性呼吸器疾患での迅速ウイルス検査は抗菌薬使用を減らせるか
Effect of Rapid Respiratory Virus Testing on Antibiotic Prescribing Among Children Presenting to the Emergency Department With Acute Respiratory Illness: A Randomized Clinical Trial
背景
急性呼吸器感染症は小児救急で一般的な受診理由であり、大半はウイルス性であるにもかかわらず、抗菌薬が処方されることが多い。University of ColoradoのRaoらは、インフルエンザ様疾患で救急受診した1ヵ月から18歳の小児患者を対象に鼻咽頭スワブを行い、迅速呼吸器病原体検査(BioFire FilmArray RP2 Panel)の結果に基づく治療または通常治療に割り付けるランダム化比較試験を実施した(n=908)。
結論
迅速検査では85%が陽性であった。介入群の小児は抗菌薬投与が多かったが(相対リスク1.3)、抗ウイルス薬の処方、医療受診、入院に有意差はなかった。IPW調整によるITT解析では、介入群の抗ウイルス薬(2.6)と入院(1.8)が多く、抗菌薬の処方には差がなかった(1.1)。
評価
一次ITT解析では抗菌薬の減少などの効果は示されなかったが、調整されたITT解析では、検査により抗ウイルス薬使用と入院が増加するという結果が示された。迅速検査は抗菌薬使用の減少にはつながらないものの、治療の最適化に一定の役割を果たした可能性がある。

