中等症・重症ARDSでの至適な肺保護的換気戦略は?:ネットワークメタ解析
Comparative Effectiveness of Protective Ventilation Strategies for Moderate and Severe Acute Respiratory Distress Syndrome. A Network Meta-Analysis
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の人工呼吸に際しては、低い一回換気量(Vt)を中心とした肺保護換気が推奨されているが、最適な管理はどのようなものか。カナダUniversity of TorontoのSudらは、ランダム化比較試験のネットワークメタアナリシスを行い、Vt・高PEEP・腹臥位療法・高頻度振動換気療法(HFOV)・VV ECMOがARDS死亡率に与える影響を比較検討した。
結論
中等症から重症のARDS患者9,085名を含む34試験で解析が行われた。腹臥位療法と低Vtの組み合わせが最良の戦略であった(低Vtのみと比較したリスク比0.74)。またVV ECMOも最良の戦略と評価されたが(低Vtと比較したリスク比0.78)、超重症ARDSに限定されておりエビデンスの確実性は低かった。高PEEPと低Vtの組み合わせは次善であり(低Vtと比較したリスク比0.91)、HFOVや高Vtと腹臥位療法を支持するエビデンスは得られなかった。
評価
ネットワークメタアナリシスを通じて、中等症・重症ARDS患者では低Vt+腹臥位が現時点での至適な換気戦略であること、超重症例ではVV ECMOを考慮すべきことを確認した。


