ARDSまたはそのリスクのある患者にヘパリンのネブライザー投与は有益か?:CHARLI試験
Nebulised heparin for patients with or at risk of acute respiratory distress syndrome: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の炎症反応の重要な部分として、肺胞内のフィブリン蓄積があるが、ヘパリンによってこれを改善することは可能か? オーストラリアSt Vincent's Hospital MelbourneのDixonらは、P/F比が300以下で翌日も侵襲的換気が必要と考えられる患者に対し、未分画ヘパリンまたはプラセボを6時間おきにネブライザー投与する多施設ランダム化比較試験CHARLIを実施した(n=256)。
結論
60日時点での生存者のSF-36身体機能スコアは、ヘパリン群で平均53.6、プラセボ群で48.7と差はなかった。ARDSリスク患者のうち5日目までにARDSを発症した患者の割合は、ヘパリン群15%、プラセボ群30%とヘパリン群で低下した(ハザード比0.46)。5日目までのMurray Lung Injury Scoreの悪化はヘパリン群で少なく、60日死亡率には差がなく(18% vs. 15%)、60日在宅生存率はヘパリン群で高かった(87% vs. 73%)。
評価
ヘパリンのネブライザー吸入はよく忍容されたが、一次アウトカムに差はなかった。いくつかの探索的アウトカムはヘパリンのベネフィットを示唆しており、今後も検証が行われるだろう。