急性心筋炎を検出する新たな血中miRNA、高精度で心筋梗塞との鑑別を可能に
A Novel Circulating MicroRNA for the Detection of Acute Myocarditis
背景
急性心筋炎の診断には心臓MRIや侵襲的な心内膜心筋生検が用いられる。心エコー検査や心筋マーカーも行われるが、特異的ではない。スペインCentro Nacional de Investigaciones CardiovascularesのBlanco-Dominguezらは、実験的に自己免疫性心筋炎または心筋梗塞を誘導したマウスにおいてソートされたCD4陽性T細胞とTh17細胞で、マイクロRNA(miRNA)マイクロアレイ解析とqPCRアッセイを実施、さらにコクサッキーウイルスによる心筋炎を誘導したマウスでもqPCRを実施し、心筋炎に特異的なmiRNAを同定した。このRNAのヒト相同体を同定し、急性心筋炎患者での発現を対照群と比較した。
結論
インターロイキン17の産生を行うTh17細胞が、心筋炎急性期における心筋障害を特徴付けていることを確認した。Th17細胞によって合成されるmmu-miR-721は、自己免疫性心筋炎・ウイルス性心筋炎のマウスには存在したが、心筋梗塞マウスには認められなかった。そのヒト相同体はhsamiR-Chr8:96と名付けられ、4つの独立した心筋炎コホートで同定された。急性心筋炎と心筋梗塞の鑑別において、hsamiR-Chr8:96のROC曲線下面積は0.927であった。年齢、性別、トロポニン値で調整されたモデルにおいてもこの新規miRNAは有用であった。
評価
新たに同定されたmiRNAを用いて、急性心筋炎と心筋梗塞の鑑別を高精度で可能とした。心筋炎の診断ツールとして登場すれば、心筋炎の早期管理に大きなインパクトをもたらすだろう。