重症でない市中肺炎でのβラクタム抗菌薬治療、3日間コースは8日間に非劣性:PTC試験
Discontinuing β-lactam treatment after 3 days for patients with community-acquired pneumonia in non-critical care wards (PTC): a double-blind, randomised, placebo-controlled, non-inferiority trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Lancet
年月
March 2021
397
開始ページ
1195

背景

近年の研究は、市中肺炎における抗菌薬療法の至適期間が、従来考えられてきたよりも短い可能性を示唆している。フランスAP-HP Paris Saclay UniversityのDinhらは、同国16施設の、CCU入室を要しない市中肺炎により入院し、3日間のβラクタム抗菌薬治療で安定が得られた成人患者において、追加5日間の経口βラクタム治療または対照プラセボを割り付け、短期抗菌薬治療の非劣性を検証するランダム化非劣性試験Pneumonia Short Treatmentを実施した。

結論

706名が適格性について評価を受け、3日間のβラクタム治療後に310名がランダム化された。ITT解析における15日目までの治癒(発熱なし、呼吸器症状の改善、抗菌薬追加なし)率は、プラセボ群77%、βラクタム群68%であり、プラセボ群の非劣性が示された。有害事象発生率はプラセボ群14%、βラクタム群19%で差はなかった。プラセボ群の3名、βラクタム群の2名が30日以内に死亡した。

評価

市中肺炎入院患者であっても重症でない場合は、3日間まで安全に抗菌薬治療を短縮可能であることを実証した。抗菌薬の大幅な削減を可能にするエビデンスである。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)