院外心停止でのアドレナリン、長期結果も変わらず:PARAMEDIC2試験
Long term outcomes of participants in the PARAMEDIC2 randomised trial of adrenaline in out-of-hospital cardiac arrest

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Resuscitation
年月
March 2021
160
開始ページ
84

背景

PARAMEDIC2試験は、イギリスNHSの院外心停止患者(n=8,014)において、アドレナリンまたはプラセボ(生理食塩水)の静注を比較する二重盲検・ランダム化比較試験であり、アドレナリン群で生存率が改善するも神経学的良好アウトカムには有意な差が見られないことを報告している。イギリスUniversity of WarwickのHaywoodらは、同試験における3ヵ月・6ヵ月・12ヵ月後の長期生存率・QOL・機能/認知アウトカムを報告した。

結論

6ヵ月時点での神経学的良好アウトカム率は、アドレナリン群2.0%、プラセボ群1.5%であった(調整オッズ比1.35, 非有意)。6ヵ月生存率はそれぞれ2.9%、2.2%であり(1.43)、12ヵ月時点では2.7%、2.0%に低下した(1.38)。認知/機能的アウトカムおよびQOLに、明白な群間差のエビデンスは認められなかった。

評価

当然視されてきた心停止でのアドレナリンの価値を問い直した大規模RCTで、この長期結果においてもアドレナリンが神経学的良好アウトカムにつながるとするエビデンスは得られなかった。

関連するメディカルオンライン文献

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)