アメリカの低リスク肺塞栓症患者では外来管理は稀
Outpatient Management of Patients Following Diagnosis of Acute Pulmonary Embolism
背景
急性肺塞栓症(PE)の患者は従来入院加療とされてきたが、PESIやHestia基準で低リスクに分類されるPE患者は外来での管理が安全かつ有効であるとされている。University of Massachusetts のWestaferらは、全米740施設の急性期病院で治療を受けた急性PE成人患者の後向コホートにおいて、初期の患者処遇とその後の医療利用について調査した(n=61,070)。
結論
新規PE患者のうち、救急から帰宅したのは4.1%にすぎなかった。また施設別の帰宅率の中央値は3.1%であった。初期処遇の決定に関する因子としては、重症を示唆する低酸素血症/呼吸不全、ショック、低血圧に次いで、施設因子が大きかった(オッズ比2.21)。帰宅後30日間で、17.9%が救急を再受診し、10.3%が入院に至ったが、再受診患者のうち、出血関連の診断を受けたのは1.3%にすぎなかった。
評価
欧米ガイドラインの基準では3-5割程度が外来で管理可能とされ、同時期のカナダでは5割が退院していたが(http://doi.org/10.1016/j.thromres.2017.06.012)、アメリカでのこの調査において外来管理はわずか4%と、国ごとに実践の大きな差異が存在することが明らかとなった。


