ハロペリドールはICUせん妄の消失を遅らせる?:前向コホート研究
Haloperidol, clonidine and resolution of delirium in critically ill patients: a prospective cohort study
背景
ハロペリドールやデクスメデトミジンはICU患者のせん妄による興奮状態の治療に頻用されるが、せん妄の持続時間を短縮するかどうかは明らかではない。オランダErasmus MCのSmitらは、混合ICU患者の前向コホート研究(n=3,614)を行い、ハロペリドールおよびα2受容体アゴニストであるクロニジン(デクスメデトミジンの類似薬)、さらに両剤の併用がせん妄の消失をもたらすか検証した。
結論
24,906日のうち18.9%でせん妄が発生した。ハロペリドールを投与された患者ではせん妄消失の可能性が低く(オッズ比0.47)、クロニジン(0.78)、両剤併用(0.45)でも同様であった。ハロペリドール、クロニジン、両剤併用患者では、せん妄期間が長く、せん妄・人工呼吸日数が多く、ICU・院内期間も長かった。ICU死亡率には影響がなかった。
評価
ハロペリドールやデクスメデトミジンは、せん妄への効果が様々に検証されてきた薬剤であり、観察研究とはいえ、むしろせん妄消失を遅らせる可能性を示唆した本結果は驚きである。