Time-Limited Trialで無益な治療を減らせるか
Evaluation of Time-Limited Trials Among Critically Ill Patients With Advanced Medical Illnesses and Reduction of Nonbeneficial ICU Treatments
背景
Time-limited trial(TLT)は、予後が不透明で患者・家族の治療目標が不明瞭な重症患者において、積極的治療が意義をもつのかを判断するため期限を定めて治療の効果を測るものである。David Geffen School of Medicine at UCLAのChangらは、カリフォルニア州3施設の内科ICUにおける前向品質改善研究を行い、進行した内科的疾患を有する重症患者(n=209)でデフォルトケアプランとしてTLTを利用することが無益なICUケアの期間・強度を抑制するか検証した。
結論
形式に則った家族の話し合いは介入前期間の60.2%、介入期間には95.8%まで増加した。話し合いにおける重要な構成要素では、ICU治療のリスク・ベネフィットについての議論(34.9% vs. 94.9%)、患者の価値観・選好についての聞き取り(46.5% vs. 98.3%)、病状改善の臨床マーカーについての確認(20.9% vs. 88.1%)のいずれも介入期間に増加した。介入期間には、患者のICU滞在期間が8.7日から7.4日へ有意に短縮し、院内死亡率に変化はなかった(58.4% vs. 58.3%)。人工呼吸器など侵襲的処置は有意に減少した(85.8% vs. 72.9%)。
評価
TLTは、家族・代理意思決定者と医療者に、治療の意義と患者にとってのゴールを明確化する機会をもたらし、結果としてICU治療の傾向も変化させた。