静注トラネキサム酸は血栓リスクを増さない:系統的レビュー・メタ解析
Association of Intravenous Tranexamic Acid With Thromboembolic Events and Mortality: A Systematic Review, Meta-analysis, and Meta-regression
背景
トラネキサム酸は出血治療の不可欠な一部となっているが、有害事象、とりわけ血栓塞栓を増すかどうかが重要な懸念事項となってきた。ドイツUniversity Hospital FrankfurtのTaeuberらは、トラネキサム酸の静注とプラセボ/無治療を比較したランダム化比較試験を特定し、トラネキサム酸静注と血栓塞栓イベントとの関連を評価するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
125,550名の患者を含む216件の試験が適格であった。血栓塞栓イベントは、トラネキサム酸群で2.1%、対照群で2.0%であった。感度分析でも結果は同様であり、血栓塞栓既往患者での研究について、試験サイズごとの比較でもトラネキサム酸と血栓塞栓イベントの関連は認められなかった。
評価
トラネキサム酸を静注しても、全ての血栓塞栓イベントに上昇が見られないことを確認した。トラネキサム酸の有効性に関しては、近年大規模試験が複数失敗に終わるなど、CRASH-2発表当時のようなエビデンスの単純明快さは失われているが、本メタ解析により安全性に関する懸念は払拭されたといえるだろう。