心臓手術後患者での輸液プロトコルは輸液量を減少させるがICU滞在期間は変わらず:FAB試験
A Multicenter, Open-Label, Randomized Controlled Trial of a Conservative Fluid Management Strategy Compared With Usual Care in Participants After Cardiac Surgery: The Fluids After Bypass Study
背景
重症患者や周術期患者では静脈輸液が一般的に行われるが、正の輸液バランスは有害アウトカムと関連することが知られており、過去のランダム化比較試験では制限的な輸液戦略によるアウトカム改善が示されている。ニュージーランドAuckland City HospitalのParkeらは、同国5施設の心臓外科センターで心臓手術を受けた患者で最大24時間、心拍出量を基準としたボーラス輸液プロトコル化または標準ケアを実施するランダム化比較試験を実施した(n=715)。
結論
全体の93.1%が1回以上のボーラス輸液を受けた。介入群ではボーラス輸液の量が少なく(中央値 1,000 mL vs. 1,500 mL)、輸液バランスも低下した(319 mL vs. 673 mL)。一方、ICU滞在時間には差がなく(27.9時間 vs. 25.6時間)、臓器不全の発症、QOL、無障害生存率にも差はなかった。また、院内死亡率は介入群で高かった(4% vs. 1.4%)。
評価
この試験では、心拍出量を目安とした保守的な輸液戦略により輸液量・輸液バランスを低下させたが、ハードアウトカムには群間差を認めなかった。


