ロボット犬を用いた患者と対面しないトリアージは実現可能
Assessment of the Acceptability and Feasibility of Using Mobile Robotic Systems for Patient Evaluation

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
March 2021
4
開始ページ
e210667

背景

COVID-19パンデミックは、医療者が患者と対面することのリスクを根本的に変化させ、遠隔医療技術への関心を大きく高めた。Brigham and Women’s HospitalのChaiらは、モバイルロボットシステムを用いたヘルスケア業務の受容可能性に関するオンラインのアンケート(n=1,154)を行い、その後、単施設救急部門コホート(n=41)においてロボット犬(Dr. Spot)を用いたトリアージの患者満足度を調査した。

結論

サンプルマッチングの結果、1,000人のアンケート参加者が解析対象となった。ロボットによる医療行為の有用性について、「やや有用」は遠隔医療会話について37.3%、バイタル取得について35.0%、鼻口腔スワブ採取について30.7%、静脈カテ留置について22.8%、ベッドでの体位変換については37.1%で、「とても有用」はそれぞれ28.7%、41.3%、19.2%、15.9%、37.1%であった。COPVID-19パンデミックを考慮した場合には、ロボットによる遠隔医療会話、鼻口腔スワブ、静脈カテ留置、静脈穿刺の受容可能性が上昇した。救急コホートでは、40名がロボットを介したトリアージ問診を完了し、うち92.5%が満足できると回答した。また82.5%は、臨床医との対面による問診と同等の満足度であると回答した。

評価

Dr. Spotは、Boston Dynamics社のよく知られた四足歩行ロボット犬をベースに、医師‐患者の会話を可能にするタブレット端末やバイタル測定のための非接触型モニタリングシステムを備えた遠隔医療用ロボット犬で、本研究はこのロボット犬を介したトリアージが患者にとって不快なものではないことを証明した。現時点ではアバターロボットの延長であり、高度な医療行為を行うことは難しいと思われるが、パンデミック下で対面接触を最小化するアイデアの一つとして注目される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)