呼吸器症状のあるCOPD急性増悪患者の肺塞栓有病率は6%
Prevalence of Pulmonary Embolism Among Patients With COPD Hospitalized With Acutely Worsening Respiratory Symptoms

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
January 2021
325
開始ページ
59

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪患者では、高率で肺塞栓症(PE)がみられることが報告されている。フランスCentre Hospitalo-Universitaire de BrestのCouturaudらは、同国7施設で呼吸器症状の急激な悪化により入院したCOPD患者を対象とした前向研究において、48時間以内の体系的なPE診断アルゴリズム(D-dimer、CTPA、下肢超音波検査を含む)を実施し、PE有病率、その他のアウトカムを調査した(n=740)。

結論

PEが確認されたのは5.9%であった。抗凝固療法を受けなかった患者(n=670)のうち、3ヵ月のフォローアップ期間にPE発症したのは5名(0.7%)で、うち3名がPE関連死であった。患者全体の3ヵ月死亡率は6.8%で、PE発症患者で高かった(25.9% vs. 5.2%)。静脈血栓塞栓症の有病率は、PE疑い患者で11.7%、それ以外で4.3%であった。

評価

2017年のメタ解析(n=880)では、原因不明COPD急性増悪の6人に一人でPEがみられるとした(http://doi.org/10.1016/j.chest.2016.07.034)が、本研究の有病率はそれより幾分か低かった。呼吸器症状を伴うCOPD増悪患者で一律にスクリーニング検査を行うべきかは議論があろうが、PEを考慮すべきことは間違いない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)