呼吸器症状のあるCOPD急性増悪患者の肺塞栓有病率は6%
Prevalence of Pulmonary Embolism Among Patients With COPD Hospitalized With Acutely Worsening Respiratory Symptoms
背景
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪患者では、高率で肺塞栓症(PE)がみられることが報告されている。フランスCentre Hospitalo-Universitaire de BrestのCouturaudらは、同国7施設で呼吸器症状の急激な悪化により入院したCOPD患者を対象とした前向研究において、48時間以内の体系的なPE診断アルゴリズム(D-dimer、CTPA、下肢超音波検査を含む)を実施し、PE有病率、その他のアウトカムを調査した(n=740)。
結論
PEが確認されたのは5.9%であった。抗凝固療法を受けなかった患者(n=670)のうち、3ヵ月のフォローアップ期間にPE発症したのは5名(0.7%)で、うち3名がPE関連死であった。患者全体の3ヵ月死亡率は6.8%で、PE発症患者で高かった(25.9% vs. 5.2%)。静脈血栓塞栓症の有病率は、PE疑い患者で11.7%、それ以外で4.3%であった。
評価
2017年のメタ解析(n=880)では、原因不明COPD急性増悪の6人に一人でPEがみられるとした(http://doi.org/10.1016/j.chest.2016.07.034)が、本研究の有病率はそれより幾分か低かった。呼吸器症状を伴うCOPD増悪患者で一律にスクリーニング検査を行うべきかは議論があろうが、PEを考慮すべきことは間違いない。