COVID-19重症患者でトシリズマブとサリルマブが効果示す:REMAP-CAP試験
Interleukin-6 Receptor Antagonists in Critically Ill Patients with Covid-19
背景
新型コロナウイルス感染症COVID-19に対しては、トシリズマブやサリルマブといったIL-6受容体モノクローナル抗体薬が有望視され複数の臨床試験が検証してきたが、有効性を認めたものは少ない。REMAP-CAP Investigatorsは、ICUで臓器サポートが開始されて24時間以内の成人COVID-19患者に、トシリズマブ、サリルマブ、標準治療(対照群)を割り付けるランダム化比較試験(REMAP-CAP)を実施した(n=895)。
結論
353名がトシリズマブ、48名がサリルマブ、402名が標準治療を受けた。21日目までの臓器サポート不要日数は、それぞれ10日(累積オッズ比1.64)、11日(1.76)、0日であった。対照群に対する優越性の事後確率は、トシリズマブ群99.9%、サリルマブ群99.5%であった。90日生存率解析でも、IL-6阻害薬はハザード比1.61、優越性の事後確率99.9%で生存期間の改善を示し、すべての二次解析もその有効性を示した。
評価
これまでのBACC試験、CORIMUNO-TOCI-1試験、RCT-TCZ-COVID-19試験、さらに同時に発表されたCOVACTA試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa2028700)が有意差なし、EMPACTA試験ではトシリズマブで一次アウトカム改善となっている。これらの試験よりも最重症患者の多い本試験は、IL-6阻害薬によるアウトカム改善を示したが、治療開始タイミングやステロイドとの相互作用など検討すべき論点は多い。