中等症・重症COVID-19への高用量ビタミンD療法は無益
Effect of a Single High Dose of Vitamin D3 on Hospital Length of Stay in Patients With Moderate to Severe COVID-19: A Randomized Clinical Trial
背景
ビタミンD欠乏は重症患者や気道感染症患者においてアウトカムの不良と関連するという報告があるが、新型コロナウイルス感染症COVID-19におけるビタミンD補充に意義はあるか。ブラジルFaculdade de Medicina da Universidade de Sao PauloのMuraiらは、サンパウロの2施設で中等症・重症のCOVID-19患者に対して、高用量ビタミンD3(200,000 IU)またはプラセボを単回経口投与するランダム化比較試験を実施した(n=240)。
結論
入院期間の中央値は、ビタミンD群・プラセボ群とも7.0日であった。院内死亡率(7.6% vs. 5.1%)、ICU入室率(16.0% vs. 21.2%)、人工呼吸率(7.6% vs. 14.4%)に有意な差は認められなかった。血清25-hydroxyvitamin Dレベルの平均はビタミンD群で上昇した(44.4 ng/mL vs. 19.8 ng/mL)。有害事象はなかった。
評価
最近では、ICU重症患者を対象とした2019年のVIOLET試験でもビタミンDの効果は退けられている(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1911124)。本試験の結果はCOVID-19患者に対するビタミンD療法を支持しない。