ナースプラクティショナーによる救急患者の検査・入院判断は医師と同等か
Emergency Physician and Advanced Practice Provider Diagnostic Testing and Admission Decisions in Chest Pain and Abdominal Pain

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Academic Emergency Medicine
年月
January 2021
28
開始ページ
36

背景

医師アシスタント・ナースプラクティショナーなどのAdvanced Practice Providerは、一般の看護師・医療スタッフよりも高度な訓練を受け、より広い裁量を持ち、近年、需要が増加している。US Acute Care SolutionsのPinesらは、胸痛または腹中を主訴として受診し、APPまたは医師による管理を受けた救急患者の全国データを用いて、それぞれの診断リソース使用率・入院率を比較した。

結論

胸痛では、1,011名のAPPに管理された受診77,568回と、1,588名の医師に管理された受診586,031回が含まれた。腹痛では、1,080名のAPPに管理された受診184,812回と、1,689名の医師に管理された受診761,230回が含まれた。医師によって管理された患者は高齢の割合が高く、入院率も高かった。医師によって管理された胸痛患者では、循環器系疾患の割合が高く(58.6% vs. 70.7%)、APPでは呼吸器系疾患の割合が高かった(17.1% vs. 9.8%)。腹痛ではそれぞれ消化器系疾患(23.3% vs. 28.5%)、泌尿生殖器系疾患が多かった。逆傾向スコア重み付けでマッチングすると、検査室利用・放射線科利用・入院の確率は、APP管理患者で同程度か、わずかに低かった。

評価

APPは医師の過重な業務を軽減することが期待され、世界的に制度整備が進んでいる。救急セッティングでのこの研究は、APPによる管理が医療リソースや患者フロー、医療の質にマイナスの影響を与えないことを示唆した。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)