COVID-19肺炎にトシリズマブは有効か?:CORIMUNO-TOCI-1試験
Effect of Tocilizumab vs Usual Care in Adults Hospitalized With COVID-19 and Moderate or Severe Pneumonia: A Randomized Clinical Trial
背景
トシリズマブは、関節リウマチの治療に用いられる抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体薬であるが、新型コロナウイルス感染症COVID-19肺炎患者において有効性が示唆されている。フランスHopital NeckerのHermineらは、酸素投与を要するが人工呼吸やICU入室には至っていないCOVID-19中等度・重度肺炎患者を対象として、通常治療のみまたは通常治療へのトシリズマブ静注追加を割り付けるベイジアンランダム化比較試験を実施した(n=131)。
結論
4日目時点でWorld Health Organization 10-point Clinical Progression Scaleが5以上の患者は、トシリズマブ群で12名、通常ケア群で19名であった(絶対リスク差−9.0%)。14日目時点で非侵襲的換気や人工呼吸管理を要した患者はトシリズマブ群24%、通常ケア群36%であった(ハザード比0.58)。28日時点でトシリズマブ群の7名、通常ケア群の8名が死亡していた。
評価
BACC試験、RCT-TCZ-COVID-19試験、EMPACTA試験などが行われてきたが結論は一貫せず、この試験ではトシリズマブによる有意な改善はみられなかった。ただステロイド使用は通常治療群で多く、これがトシリズマブの効果をマスクした可能性もある。