くも膜下出血での超早期トラネキサム酸は利益示せず:ULTRA試験
Ultra-early tranexamic acid after subarachnoid haemorrhage (ULTRA): a randomised controlled trial
背景
外傷性出血ではトラネキサム酸の早期投与が死亡率を改善することが示されているが、くも膜下出血ではどうか。オランダUniversity of AmsterdamのPostらは、CTで確認された特発性くも膜下出血患者に対し、トラネキサム酸+通常治療または通常治療のみを割り付ける多施設ランダム化比較試験ULTRAを実施した(n=955)。
結論
ITT解析では、6ヵ月時点における良好アウトカム(mRSが0-3)率はトラネキサム酸群60%、対照群64%であった(調整オッズ比0.86)。動脈瘤介入前の再出血率はそれぞれ10%、14%であった(オッズ比0.71)。その他の重篤有害事象は両群で同等であった。
評価
脳動脈瘤性のくも膜下出血に対する抗線溶療法は明確な効果を示せていなかった。本試験は、超早期かつ短期のトラネキサム酸投与により、脳虚血を増加させることなく再出血を減らすことを目指したが、臨床アウトカムの改善は示されなかった。