DOAC内服中軽症頭部外傷患者の頭蓋内出血は比較的まれ
Risk of significant traumatic brain injury in adults with minor head injury taking direct oral anticoagulants: a cohort study and updated meta-analysis
背景
抗凝固療法を受ける頭部外傷患者では頭蓋内出血リスクが高くなると考えられており、頭部CTによる確認が推奨されている。イギリスUniversity of SheffieldのFullerらは、直接経口抗凝固薬(DOAC)内服中の軽症頭部外傷成人患者を前向きに特定し、30日以内の有害アウトカム率を調査する観察コホート研究を実施、さらにこの結果を加えた更新メタアナリシスを実施した(n=148)。
結論
患者の年齢は中央値82歳であり、受傷理由は平地での転倒がほとんどであった(96%)。30日以内の有害アウトカム(脳神経外科手術、頭蓋内出血、頭部外傷による死亡)は5名(3.4%)であった。5名が頭蓋内出血であり、うち1名が死亡した。1名がPCC治療を受けたが、クリティカルケア管理や脳神経外科手術を受けた患者はいなかった。本コホート研究と最近の2件の研究を含めて更新されたメタアナリシスでは、有害アウトカムの重み付けリスクは3.2%であった。
評価
DOACを内服する軽症頭部外傷患者の重大アウトカム率は比較的低く、特にGCSが15で症候のみられない平地転倒患者では頭蓋内出血は1例もなかった。こうした低リスク患者ではルーチンなCTは不要かもしれない。