ARDSのないICU患者では低PEEPでもよいか:RELAx試験
Effect of a Lower vs Higher Positive End-Expiratory Pressure Strategy on Ventilator-Free Days in ICU Patients Without ARDS: A Randomized Clinical Trial
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者では高い呼気終末陽圧(PEEP)の有効性が確立しているが、非ARDS患者ではどうか。Writing Committee and Steering Committee for the RELAx Collaborative Groupは、オランダの8つのICUにおいて24時間以上の侵襲的換気が予想される非ARDS患者を、低PEEP(0-5 cm H2O)または高PEEP(8 cm H2O)に割り付けるランダム化非劣性試験RELAxの結果を報告した(n=980)。
結論
28日目までの人工呼吸器不要日数は、低PEEP群で中央値18日、高PEEP群では17日であり(平均比1.04)、95%信頼区間の下限は非劣性マージン内であった。重度低酸素血症の発症率はそれぞれ20.6%、17.6%(リスク比1.17)、レスキュー戦略を要した割合は19.7%、14.6%(1.35)であった。28日死亡率は低PEEP群38.4%、高PEEP群42.0%であった(ハザード比0.89)。
評価
ARDS患者とは異なり、非ARDS患者でのPEEP戦略についてはあまり注意が払われてこなかったが、このRCTは低PEEPも可能であることを示唆した。ただし呼吸不全が原因で挿管を受けたサブグループでは、高PEEPがよい可能性も残されており、今後の調査に値する。