重症患者での消化管出血予防、最新メタ解析でもハードアウトカム効果は不明
Efficacy and safety of gastrointestinal bleeding prophylaxis in critically ill patients: an updated systematic review and network meta-analysis of randomized trials
背景
ICU患者での潰瘍予防戦略については検証が続いており、2020年には過去最大となるPEPTIC試験の結果も発表された。カナダMcMaster UniversityのWangらは、成人重症患者を対象にプロトンポンプ阻害薬(PPI)、ヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)、スクラルファートの効果を検討したランダム化比較試験を特定し、ネットワークメタアナリシスを実施した。
結論
74試験、39,569名の患者が対象となった。予防しない場合の死亡率と比較して、PPI(リスク比1.03)とH2RA(0.98)はほとんど影響を与えなかった。PPIとH2RAの死亡率に有意な差はなかったが、PPIで死亡率が増加する可能性も除外されなかった(1.05)。PPI(0.46)、H2RA(0.67)はともに臨床的に重大な消化管出血を減少させ、その効果はおそらくPPIで大きく(0.69)、もっぱら出血リスクの低い患者での差に由来した。また肺炎については、PPI(1.08)、H2RA(1.07)ともおそらく重要な影響を与えないと考えられた。
評価
2万人を超えるPEPTIC試験を追加しても、各潰瘍予防戦略の死亡率効果について結論を引き出すことはできなかった。ただし、PPIで死亡率がわずかに上昇する可能性を除外できない点については、さらなる検証を必要とするだろう。