心停止後昏睡患者の神経学的不良アウトカムは予測できるか:系統的レビュー
Prediction of poor neurological outcome in comatose survivors of cardiac arrest: a systematic review
背景
心停止後の蘇生患者の大半は昏睡状態であり、その予後は不良である。イタリアFondazione Policlinico Universitario “Agostino Gemelli” のSandroniらは、ヨーロッパ蘇生協議会(ERC)とヨーロッパ集中治療医学会(ESICM)の新たなガイドラインのためのシステマティックレビューを行い、心停止後昏睡成人サバイバーにおける死亡・遷延性意識障害・神経学的不良アウトカムを予測する因子を特定した。
結論
30,200名の患者からなる94件の研究が含まれた。自己心拍再開(ROSC)4日目以降の両眼瞳孔反射・角膜反射の消失、ROSC後24時間以降の血中NSE高値、ROSC当日からのSSEPでのN20波の消失、ROSC後24時間以降のEEG背景活動の抑制・バーストサプレッション、ROSC後2時間以降での脳CTにおけるびまん性脳浮腫、ROSC後2-5日での脳MRIにおける拡散低下は、いずれも不良アウトカムの偽陽性率が0%であった。いずれの因子についてもバイアスリスクは高かった。
評価
前回2015年のERC/ESICMガイドラインが推奨していた予測アルゴリズムの検証も行われ、偽陽性はなかったものの、「予言の自己成就」による交絡を排除することが難しいという制限がある(https://doi.org/10.1007/s00134-020-06080-9)。新たなガイドラインは2021年に発表される予定である。