持続腎臓代替療法中の抗凝固薬はクエン酸:RICH試験
Effect of Regional Citrate Anticoagulation vs Systemic Heparin Anticoagulation During Continuous Kidney Replacement Therapy on Dialysis Filter Life Span and Mortality Among Critically Ill Patients With Acute Kidney Injury: A Randomized Clinical Trial
背景
急性腎障害(AKI)患者の持続的腎代替療法(CRRT)での抗凝固薬としては、ヘパリンに替わってクエン酸が世界的に用いられるようになっている。ドイツUniversity of MunsterのZarbockらは、RRT適応のある重度AKI患者において、局所クエン酸または全身ヘパリンを割り付けフィルター寿命・死亡率を比較するランダム化比較試験RICHを実施した(n=638)。
結論
フィルター寿命の中央値は、局所クエン酸群で47時間、ヘパリン群では26時間であった。90日全原因死亡率は局所クエン酸群51.2%、ヘパリン群53.6%と差はなかった(調整オッズ比0.79、非有意)。38の事前指定二次エンドポイントのうち、34では有意差が認められなかった。出血合併症はクエン酸群で少なく、新規感染はクエン酸群で多かった。
評価
クエン酸の有効性と出血リスクの低さを示す小規模なRCTと、それらのメタ解析(https://doi.org/10.1053/j.ajkd.2011.11.030)がすでに存在したが、より大規模にこの知見を確認し、現行ガイドラインに強力な裏付けを与えた。