救急部での臨床所見からCOVID-19を予測できるか
Accuracy of Emergency Department Clinical Findings for Diagnosis of Coronavirus Disease 2019

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
October 2020
76
開始ページ
405

背景

新型コロナウイルス感染症COVID-19の臨床的特徴については知見が蓄積されているものの、救急における臨床的診断については報告が乏しい。フランスSaint-Louis HospitalのPeyronyらは、2020年3月9日から4月4日にRT-PCRによるSARS-CoV-2検査を実施した同施設の救急患者を対象として、既往歴、身体所見、救急医による臨床確率の診断精度を推定した(n=391)。

結論

225名がSARS-CoV-2陽性であった。救急医が臨床確率が低いと判断した場合、PCR陰性の可能性が高く、臨床確率が高いと判断した場合には陽性の可能性が高かった。患者報告の嗅覚脱失(陽性尤度比7.58)と肺エコーでの両側性B lines(7.09)は、COVID-19と診断される可能性が高かった。臨床確率が高くなく(陰性尤度比0.33)、両側性B lineがない(0.26)場合には、COVID-19診断の可能性も低かった。

評価

発熱や呼吸困難感に関連する臨床特徴は多くが非特異的だった一方、嗅覚異常、両側性B lineの診断精度は良好であり、臨床医のゲシュタルトはAUROCCが0.795とかなり正確であった。ただし本研究のコホートは陽性率が高く、陽性率の低い集団に一般化することには注意が必要となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)