病院到着前に死亡した外傷患者の12%が救命可能?:アメリカ
Early and prehospital trauma deaths: Who might benefit from advanced resuscitative care?
背景
近年のエビデンスは外傷患者における出血コントロールと輸血の重要性を強調しているが、外傷による早期死亡の内どの程度が予防可能なのか。University of Alabama at BirminghamのCarrollらは、検視局から得た病院前・早期院内死亡した外傷例(n=316)データを、外傷外科医と法医病理学医により後向レビューし、外傷死の予防可能性を検討した。
結論
早期外傷死の73%は解剖学的に生存不可能、9%は解剖学的には生存可能であるが院内治療が必要と判定された。解剖学的に生存可能かつ、高度病院前治療により生存可能であったのは14%、基本的な病院的治療により生存可能であったのは4%であった。生理学的検証では、36%は救急隊員による発見時には死亡しており、43%は救急隊到着時に心肺停止状態であり、8%は現場では心肺機能があったものの救急部門到着時には心肺停止状態であり、13%は救急部到着後に心肺停止となり死亡した。総合すると、これら外傷死の85%は予防不可能であり、3%はおそらく予防不可能、12%はおそらく予防可能と判定された。
評価
早期外傷死の8人に一人が「防ぎえた外傷死(PTD)」である可能性があった。PTDを減らすためには、高度な病院前救命処置の利用可能性をいかに拡げていくかが課題となる。