新型コロナ(COVID-19)下でアメリカの救急受診件数は激減
Trends in Emergency Department Visits and Hospital Admissions in Health Care Systems in 5 States in the First Months of the COVID-19 Pandemic in the US
背景
今般のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)流行下では不急の病院受診を控える動きが拡がり、救急受診も減少しているとみられている。Mayo ClinicのJefferyらは、アメリカ5州(コロラド、コネティカット、マサチューセッツ、ニューヨーク、ノースカロライナ)の24救急施設で横断観察研究を実施、2020年1月1日から4月30日までの一日あたり救急受診件数と入院率、これらと各州のCOVID-19件数との関連を検討した。
結論
パンデミック前の年間受診数は、13,000〜115,000件の幅があった。アメリカのCOVID-19件数が急増した3月11日週に、救急受診件数は5州すべてで大きく落ち込んだ。減少幅はコロラド州で最も小さく41.5%、ニューヨーク州で最も大きく63.5%であった。入院率は、各地域のCOVID-19症例が増加するまでは安定していたが、症例数の増加に伴い最大のニューヨーク州では149.0%、最小のノースカロライナ州でも22.0%増加した。
評価
COVID-19流行下では、広汎な国々ですべての病院受診が抑制された。特にパンデミックの激しかったニューヨークでは救急受診の減少幅が大きく、逆に救急からの入院率(重症疾患の割合に対応)は劇的に増加した。必要な救急受診が控えられることがない医療システムは今後の課題である。