中等度・重度TBIでの病院前トラネキサム酸、効果示せず
Effect of Out-of-Hospital Tranexamic Acid vs Placebo on 6-Month Functional Neurologic Outcomes in Patients With Moderate or Severe Traumatic Brain Injury

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
September 2020
324
開始ページ
961

背景

外傷性出血におけるトラネキサム酸(TXA)の有効性が確立されて久しいが、外傷性脳損傷(TBI)での有効性についてはいまだ議論がある。Oregon Health & Science UniversityのRowellらは、北米の外傷センター20施設、救急医療サービス39ヵ所において、GCSが12以下でSBPが90 mmHg以上のTBI患者を院外TXA+院内TXA(ボーラス維持群)、院外TXA+院内プラセボ(ボーラスのみ群)、院外プラセボ+院内プラセボ(プラセボ群)に割り付けるランダム化比較試験を実施した(n=1,063)。

結論

患者の平均GCSは8であった。6ヵ月時点での神経学的機能良好率は、TXA群65%、プラセボ群62%であった。28日死亡率はTXA群14%、プラセボ群17%で有意差はなく、6ヵ月DRSスコア(6.8 vs. 7.6)や脳内出血の悪化(16% vs. 20%)にも差はなかった。

評価

いずれのアウトカムもTXAで優位な傾向があったものの、パワー不足の可能性もあって有効性を示すには至らなかった。先行したCRASH-3試験では、軽度・中等度TBIでのみ効果がみられており(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)32233-0)、重症度や脳内出血の有無によって効果が左右される可能性が高い。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)