中等度・重度TBIでの病院前トラネキサム酸、効果示せず
Effect of Out-of-Hospital Tranexamic Acid vs Placebo on 6-Month Functional Neurologic Outcomes in Patients With Moderate or Severe Traumatic Brain Injury
背景
外傷性出血におけるトラネキサム酸(TXA)の有効性が確立されて久しいが、外傷性脳損傷(TBI)での有効性についてはいまだ議論がある。Oregon Health & Science UniversityのRowellらは、北米の外傷センター20施設、救急医療サービス39ヵ所において、GCSが12以下でSBPが90 mmHg以上のTBI患者を院外TXA+院内TXA(ボーラス維持群)、院外TXA+院内プラセボ(ボーラスのみ群)、院外プラセボ+院内プラセボ(プラセボ群)に割り付けるランダム化比較試験を実施した(n=1,063)。
結論
患者の平均GCSは8であった。6ヵ月時点での神経学的機能良好率は、TXA群65%、プラセボ群62%であった。28日死亡率はTXA群14%、プラセボ群17%で有意差はなく、6ヵ月DRSスコア(6.8 vs. 7.6)や脳内出血の悪化(16% vs. 20%)にも差はなかった。
評価
いずれのアウトカムもTXAで優位な傾向があったものの、パワー不足の可能性もあって有効性を示すには至らなかった。先行したCRASH-3試験では、軽度・中等度TBIでのみ効果がみられており(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)32233-0)、重症度や脳内出血の有無によって効果が左右される可能性が高い。