市民による心肺蘇生実施率を高めるコミュニティ介入とは:系統的レビュー・メタ解析
Assessment of Community Interventions for Bystander Cardiopulmonary Resuscitation in Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Systematic Review and Meta-analysis
背景
院外心停止(OHCA)においては、居合わせた市民救助者による心肺蘇生(バイスタンダーCPR)が決定的に重要であり、バイスタンダーCPR実施率を高めるためのさまざまな取り組みが進んでいる。中国Xinhua Hospital Affiliated to Shanghai Jiao Tong University のYuらは、システマティックレビュー・メタアナリシスにより、バイスタンダーCPR実施率とOHCA生存率を改善するためのコミュニティ介入を評価した。
結論
15件の研究が解析に含まれた。5件はコミュニティ介入のみ、10件はこれと医療サービスの改良との組み合わせを評価していた。4件は、CPRトレーニングとトレーニングを受けた市民にOHCA発生を知らせる通知システムを用いていた。メタ解析に含まれた9件(n=21,266)では、コミュニティ介入はバイスタンダーCPR実施率の改善(オッズ比1.28)、生存退院率/30日生存率の改善(オッズ比1.34)と関連した。またコミュニティ介入のみと比較して、コミュニティ介入と医療サービス介入の組み合わせでバイスタンダーCPR実施率が向上したが(1.74)、生存率の改善は有意ではなかった(1.71)。
評価
コミュニティ介入はCPR実施率・生存率を改善し、特に通知システムによりバイスタンダーを派遣する介入(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1406038 など)は大きな効果を有した。日本でも同種の取り組みが始まりつつあるが、幅広い社会実装を後押しするデータである。

