重症患者での抗菌薬デ・エスカレーション療法の実態を国際調査:DIANA研究
Antimicrobial de-escalation in the critically ill patient and assessment of clinical cure: the DIANA study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Intensive Care Medicine
年月
July 2020
46
開始ページ
1404

背景

抗菌薬のデ・エスカレーション(de-escalation: DE)療法とは、広域抗菌薬の経験的投与から開始し、培養結果や効果をみてより狭域に変更ないし投与中止する戦略であるが、このプラクティスの国際的実態はどのようなものか。ベルギーGhent University HospitalのDe BusらによるDIANA研究は、世界28ヵ国152のICUで経験的抗菌薬療法を受けた細菌感染症患者の前向観察研究であった(n=1,495)。

結論

50%で併用療法が、26%でカルバペネム系抗菌薬投与が行われていた。3日目までにDEが行われたのは16%、経験的投与が維持されたのが63%、DEでない変更が行われたのが22%であった。未調整28日死亡率はそれぞれDE患者で15.8%、変更なし患者で19.4%であった(相対リスク0.83、非有意)。臨床的治癒の相対リスクはDE患者で1.37であった。

評価

ヨーロッパ・アジアを中心とした国際的調査により、DE戦略の採用が非常に稀であること、しかしそれが臨床的悪影響をもたらす可能性が低いことを明らかにした。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)