急性腎障害でのRRT開始タイミング、真打ちSTARRT-AKI試験も差なし
Timing of Initiation of Renal-Replacement Therapy in Acute Kidney Injury
背景
重症急性腎障害(AKI)に対する腎代替療法(RRT)の開始タイミングについては、複数の臨床試験が検討してきた。STARRT-AKI Investigatorsは、重症AKI患者(KIDGOが2・3)を12時間以内の早期RRT開始または標準戦略(緊急適応または72時間以上のAKI持続で開始)に割り付ける多施設ランダム化比較試験を実施した(n=3,019)。
結論
早期開始群の96.8%、標準戦略群の61.8%でRRTが実施された。90日死亡率は早期開始群43.9%、標準戦略群43.7%と差はなかった(相対リスク1.00)。90日時点で生存している患者でのRRT依存率は早期開始群で高かった(10.4% vs. 6.0%、相対リスク1.74)。有害事象は早期開始群の23.0%、標準戦略群の16.5%で発生した。
評価
これまでの大規模試験ではELAIN試験が有効、AKIKI試験、IDEAL-ICU試験では無効となっており、これらの試験の患者データを用いた最新メタ解析は有意差なしとしている(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30531-6)。過去最大の本STARRT-AKI試験の結果とも合わせ、「重症AKIにおける早期RRTは有効でない」が結論とみなされよう。