虚血性脳卒中・TIA後急性期からのチカグレロル+アスピリンで再発減:THALES試験
Ticagrelor and Aspirin or Aspirin Alone in Acute Ischemic Stroke or TIA

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
July 2020
383
開始ページ
207

背景

チカグレロルは非重症急性脳卒中・一過性脳虚血発作(TIA)患者における再発予防で、アスピリンに優らないことが示されているが、アスピリンとの併用はどうか。University of Texas at AustinのJohnstonらは、血栓溶解・血栓回収を要しないNIHSSスコアが5以下の急性虚血性脳卒中およびTIA患者を、発症24時間以内にチカグレロル+アスピリンまたはプラセボ+アスピリンに割り付ける多施設ランダム化比較試験THALESを実施した(n=11,016)。

結論

30日以内の脳卒中・死亡はチカグレロル併用群5.5%、アスピリン単独群6.6%であった(ハザード比0.83)。虚血性脳卒中はそれぞれ5.0%、6.3%で発生した(0.79)。30日以内の障害に群間差はなかった。重大な出血はチカグレロル併用群0.5%、アスピリン群の0.1%で発生した。

評価

クロピドグレルでのCHANCE試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1215340)・POINT試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1800410)と同様に、二剤併用による抗血小板療法は(出血の増加を代償に)再発イベントを減少させた。クロピドグレルとチカグレロルが次なる課題となる(NCT04078737)。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)