めまいでのHINTS、救急での診断精度は:系統的レビュー・メタ解析
Can Emergency Physicians Accurately Rule Out a Central Cause of Vertigo Using the HINTS Examination? A Systematic Review and Meta‐analysis
背景
急性前庭症候群(AVS)を伴うめまいのほとんどは前庭神経炎によるものだが、椎骨脳底動脈に原因を持つ中枢性めまいの除外が重要で、HINTS検査(Head Impulse test正常、一方向性でない眼振、斜偏位)はその鑑別に有用とされる。カナダNorthern Ontario School of MedicineのOhleらは、システマティックレビューによりCT/MRIを参照標準としてAVS患者でのHINTS検査の診断精度を評価した前向研究を特定し、メタアナリシスを実施した。
結論
5件の研究(参加者617名)が基準を満たした。椎骨脳底動脈不全の有病率は9.3%〜44%であった。HINTS検査が神経科医により実施された場合、感度は96.7%、特異度は94.8%であった。一方、救急医によるHINTS検査が行われた研究は1件のみで、救急医と神経科医によって実施された同試験の感度は83%、特異度は44%であった。
評価
HINTS検査の鑑別精度は非常に高かったが、神経科医でない救急医によるHINTS検査を検証した唯一の研究ではその精度は低かった。救急セッティングでのエビデンスが充実するまでは、救急での中枢性めまい除外においてHINTS検査は補助的なものと考えるべきかもしれない。