人工呼吸器関連肺炎の診断精度は:系統的レビューとメタ解析
Diagnosis of ventilator-associated pneumonia in critically ill adult patients--a systematic review and meta-analysis
背景
人工呼吸器関連肺炎(VAP)では早期の抗菌薬治療の開始が重要となるが、VAP診断のための各種所見・検査の精度はどのようなものか。カナダUniversity of OttawaのFernandoらは、システマティックレビュー・メタアナリシスにより、成人重症患者における身体検査・胸部X線・気管内吸引(ETA)・気管支肺胞洗浄(BAL)・検体保護ブラシ(PSB)・Clinical Pulmonary Infection Score(CPIS)のVAP診断精度を比較評価した。
結論
発熱の感度・特異度はそれぞれ66.4%・53.9%、膿性痰は77.0%・39.0%、胸部X線の浸潤影は88.9%・26.1%であった。ETAの感度・特異度は75.7%・67.9%、PSBは61.4%・76.5%、BALは71.1%・79.6%であった。CPIS>6はそれぞれ73.8%・66.4%であった。
評価
VAPの診断には確立されたゴールドスタンダードがなく、このメタ解析でも従来法の特異度が十分でないことが明らかとなった。VAP治療患者の2/3は実際にはVAPでないというデータもあり、不要な抗菌薬治療を最小化する上でもブレイクスルーが待ち望まれる。