絵文字ボタンデバイスで救急スタッフ・患者のストレスをリアルタイムに測定
Capturing Real-Time Emergency Department Sentiment: A Feasibility Study Using Touch-Button Terminals
背景
救急環境はスタッフと患者の双方にストレスをもたらし、その解決のためにさまざまな模索が続いている。University of PennsylvaniaのAgarwalらは、救急の医師およびナースのステーションと患者出口に、4つの絵文字ボタン(とてもよい・よい・わるい・とてもわるい)をもつ端末を設置し、記録された感情と患者ボリューム変数との相関を検討した。
結論
5ヵ月間で13,849回の感情が記録され、うち医療従事者のものは9,472回あった。医療従事者の感情は否定的なものが多く(58.7%)、診察待ち患者・待機患者の数と相関した。また医療従事者の肯定的な感情は、診察を受けずに帰宅した患者の数と相関した。待機患者が多くなると、記録される感情の総数も増加した。患者の否定的な感情は、診察待ち・待機・無診察帰宅のいずれとも相関した。
評価
日本でも空港などで見ることの出来るカスタマー・フィードバック・デバイスを用いて、救急スタッフの感情をリアルタイムに収集するというコンセプトのフィジビリティ研究である。この種のデバイスで得られたデータについては、極端に偏る(平静時は素通りされがち)という批判もあるが、救急のような環境でリアルタイムな感情データは貴重であり、利用可能性は開かれている。