外傷患者でのトラネキサム酸、リアルワールドでは血栓リスクも
Mortality and Complication Rates in Adult Trauma Patients Receiving Tranexamic Acid: A Single-center Experience in the Post-CRASH-2 Era

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Academic Emergency Medicine
年月
May 2020
27
開始ページ
358

背景

CRASH-2試験は、外傷後早期のトラネキサム酸投与をスタンダードなものとしたが、リアルワールドでの安全性はどうか。UC DavisのErramouspeらは、レベル1外傷センター単施設でトラネキサム酸投与を受けた成人外傷患者の死亡率・有害事象発生率を報告した(n=273)。

結論

受傷から投与までの平均時間は1.55時間で、84%は3時間以内に投与を受けた。28日死亡率は12.8%であった(CRASH-2試験では14.5%)。急性血栓イベントは6.6%であり、CRASH-2試験の2.0%よりも高かった。また手術・輸血の割合も高かった。

評価

CRASH-2、CRASH-3は大半が発展途上国の患者であり、先進国での外部妥当性の問題があった。アメリカコホートでの本研究は、(患者背景の違いもあり一概には言えないが)トラネキサム酸後の血栓イベントリスクがRCTでの報告よりも高い可能性を示唆する。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)