高リスクな急性上部消化管出血で緊急に内視鏡治療を行ってもアウトカム変わらず
Timing of Endoscopy for Acute Upper Gastrointestinal Bleeding
背景
急性の上部消化管出血では24時間以内の内視鏡的治療が推奨されているが、より早期に内視鏡を実施する意義はあるか。香港Chinese University of Hong KongのLauらは、Glasgow-Blatchfordスコアが12以上の高リスク急性上部消化管出血患者を、消化器科コンサルテーション後6時間以内または6〜24時間の内視鏡実施に割り付ける単施設ランダム化比較試験を実施した(n=516)。
結論
緊急内視鏡群の60.1%、早期内視鏡群の48.4%が内視鏡的止血を受けた。30日死亡率は緊急内視鏡群で8.9%、早期内視鏡群では6.6%と有意差はなかった。30日以内の再出血はそれぞれ10.9%、7.8%で、こちらも差はなかった。
評価
緊急内視鏡のベネフィットはみられず、かえってアウトカムが悪化する傾向にあった。本試験の組み入れ基準の患者では他の介入を優先すべきと思われるが、緊急内視鏡の適応についてはさらに調査が必要である。