外傷性脳損傷では早期の気管切開でアウトカム良好
Tracheostomy practice and timing in traumatic brain-injured patients: a CENTER-TBI study
背景
外傷性脳損傷(TBI)患者では気管切開が行われる場合があるが、至適な適応やタイミングは不明である。イタリアUniversity of Milano-BicoccaのRobbaらは、ヨーロッパのICU入室TBI患者コホートCENTER-TBIにおいて、早期(入室7日以内)・晩期(7日以降)の気管切開と拡張Glasgow Outcome Scoreの関連、および気管切開タイミングに関連する因子を調査した(n=1,358)。
結論
433名(31.8%)が気管切開を受けた。年齢(ハザード比1.04)、GCSが8以下(1.70)、胸部外傷(1.24)、低酸素血症(1.37)、瞳孔反応なし(1.76)が気管切開の予測因子であった。気管切開の頻度(7.9〜50.2%)、早期気管切開の頻度(0〜17.6%)は国によって大きな差があった。晩期の気管切開は、死亡・神経学的不良(オッズ比1.69)、滞在期間(38.5日 vs. 49.4日)と関連した。
評価
TBI患者では一般ICU患者よりも高率で気管切開が行われており、晩期の気管切開はアウトカム悪化と関連した。ただこの関連は交絡による可能性もあり、早期気管切開戦略が有効であるかはRCTで検証される必要がある。