救急でのオピオイド処方はオピオイド依存症の犯人ではない?
Opioid Use During the Six Months After an Emergency Department Visit for Acute Pain: A Prospective Cohort Study
背景
オピオイド依存症は特にアメリカでは大きな社会問題であり、救急におけるオピオイド処方がそのゲートウェイを担っているのでは、と指摘されてきた。Albert Einstein College of MedicineのFriedmanらは、2017年10月から9ヵ月の間に急性疼痛で2施設の救急を受診し、退院時にオピオイド処方を受けた患者の前向コホートにおいて、6ヵ月後に電話と州の処方監視データベースによる調査を行い、再度ないし持続的なオピオイド使用の頻度を調査した(n=733)。
結論
484名が参加に同意し、うち410名(85%)について電話調査が行われた。484名のほとんど(66%)がその後オピオイドの処方を受けていなかったが、21%は2回以上のオピオイド処方を受けていた。オピオイドの持続的使用が認められたのは5名(1%)だけで、うち中等度以上の疼痛を有していなかったのは1名のみであった。
評価
BMJでの報告では術後オピオイド処方のうち誤用につながったのは1%未満とされている(https://doi.org/10.1136/bmj.j5790)。オピオイド処方を必要最小限にとどめるべきことは言うまでもないが、アメリカのオピオイド依存の主たる原因は処方ではないかもしれない。


