重症急性腎障害での早期透析開始は無益:RCT患者データのメタ解析
Delayed versus early initiation of renal replacement therapy for severe acute kidney injury: a systematic review and individual patient data meta-analysis of randomised clinical trials
背景
重症急性腎障害(AKI)に対する腎代替療法(RRT)の開始タイミングについては、AKIKI試験、ELAIN試験、IDEAL-ICU試験などの臨床試験が行われてきたが、その結論は相矛盾している。フランスAP-HP Hopital AvicenneのGaudryらは、システマティックレビューにより重症AKI患者での早期RRT開始戦略を検証したランダム化比較試験を特定、これらの試験実施者から得られた患者個別データをメタアナリシスした。
結論
10件の研究、2,143名の患者が含まれた。うち患者個別データが利用可能であったのは9件、2,083名であった。28日死亡率は晩期RRT群44%、早期RRT群43%であり、晩期RRTによるリスクは見られなかった(リスク比1.01)。研究間の異質性はなく、多くの研究でバイアスリスクは低であった。
評価
早期RRTのベネフィットを示したAKIKI試験の研究者らが中心となって行われたメタ解析で、RRTの開始タイミングにより死亡率に差がないことを確認した。緊急適応がない患者で、ただちにRRTを開始する意義はないと考えてよいだろう。この問題の真打ちとして、本メタ解析の患者数を単独で上回る大規模試験STARRT-AKIが完了済みである(NCT02568722)。