ショック抵抗性院外心停止での抗不整脈薬、静脈投与でのみベネフィットか:ALPS試験の解析
Survival After Intravenous Versus Intraosseous Amiodarone, Lidocaine, or Placebo in Out-of-Hospital Shock-Refractory Cardiac Arrest
背景
ショック抵抗性の院外心停止(OHCA)に対する抗不整脈薬のベネフィットは証明されていないが、投与経路は影響するのか。Oregon Health & Science UniversityのDayaらは、救急医療従事者にアミオダロン・リドカイン・プラセボを1:1:1で割り付けた、ショック抵抗性心室細動/無脈性心室頻拍OHCA患者(n=3,019)を対象としたランダム化比較試験ROC ALPSの事前指定解析を実施、静脈内投与と骨髄内投与のアウトカムを比較した。
結論
全退院生存率は23%であった。2,358名が静脈内投与、661名が骨髄路で投与された。プラセボと比した退院生存率は、静脈アミオダロン群(調整リスク比1.26)と静脈リドカイン群(1.21)で有意に高かったが、骨髄アミオダロン群(0.94)と骨髄リドカイン(1.03)では差はみられなかった。病院到着時生存率も静脈内投与群で有意に上昇したが、骨髄内投与群では上昇しなかった。プラセボでは、静脈内投与と骨髄内投与の差はなかった。
評価
骨髄投与は通常セカンドオプションでありそれ自体予後不良因子である可能性もあるが、この解析ではプラセボ群で静脈路と骨髄路の差がなかったにもかかわらず、抗不整脈薬群では静脈路が優った。骨髄投与が有害な可能性は他研究でも示唆されており、可能な限り静脈投与を目指すべきであろう。