新型肺炎COVID-19への既存薬転用治験、レムデシビルRemdesivirの中国RCTは「失敗」
Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial
背景
抗ウイルス薬remdesivirは、新型コロナウイルスSARS-CoV-2感染呼吸器症候群COVID-19でのコンパッショネート使用において有望な結果を残している。中国China-Japan Friendship HospitalのWangらは、湖北省10施設の酸素飽和度94%以下または動脈血酸素分圧300 mmHg以下のSARS-CoV-2肺炎患者を、10日間のremdesivirまたはプラセボに2:1で割り付けるランダム化比較試験を実施した。
結論
武漢での流行が終息したため、予定登録数に達しないまま試験は終了した。237名がランダム化を受けた。Remdesivirは臨床的改善までの時間と関連しなかった(ハザード比1.23)。症状の持続期間が10日以下の患者では、remdesivir群で臨床的改善までの時間が短縮する傾向があった(ハザード比1.52、非有意)。有害事象はremdesivir群66%、プラセボ群64%で報告された。各群12%、5%が有害事象により早期投与中止となった。
評価
COVID-19での臨床試験としては既にロピナビル‐リトナビル(http://doi.org/10.1056/NEJMoa2001282)、ヒドロキシクロロキン(http://doi.org/10.1101/2020.04.10.20060558)が失敗しているが、remdesivirも有効性を示せなかった。ただし、アメリカで行われているACTT試験の予備的結果は有望(https://www.niaid.nih.gov/news-events/nih-clinical-trial-shows-remdesivir-accelerates-recovery-advanced-covid-19)であり、結論は持ち越しとなる。