新型コロナ感染者での挿管:個人防護具は飛沫を完全には防げない
Exposure to a Surrogate Measure of Contamination From Simulated Patients by Emergency Department Personnel Wearing Personal Protective Equipment
背景
気管挿管はエアロゾルを発生させ、ウイルス暴露の危険性が高い手技である。イスラエルRambam Health Care CampusのFeldmanらは、同施設救急部門で、鼻や口などに蛍光マーカーを塗布した成人と小児のマネキンに対し標準的な個人防護具(PPE)を着用した医師が迅速導入気管挿管を行い、看護師が末梢静脈路確保と薬物投与を行うシミュレーション研究を実施、咳嗽エピソードでのPPEの防御能を検証した。
結論
成人・小児で1回ずつ、計8名が参加した。8名中7名の皮膚に蛍光マーカーが付着していた(首6名、耳1名)。また全員の髪に蛍光マーカーが付着しており、4名では靴にマーカーが付着していた。マネキンとの接触は、成人での挿管で計102回、小児で88回であった。
評価
SARSでも挿管実施者で感染リスクが高いことが示されているが、このシミュレーションでも標準的なPPEの防御能が完全ではないことが明らかとなった。ヘアカバー・シューズカバーは必須で、他にも挿管用のボックスなども提案されている(http://doi.org/10.1056/NEJMc2007589)。