新型肺炎COVID-19重症患者でのremdesivir有望か
Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19
背景
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染によるCOVID-19に有効な既存薬の探索が続いているが、remdesivir(レムデシビル)はその中でも有望視されている。Cedars-Sinai Medical CenterのGreinらは、北米・ヨーロッパ・日本において、酸素非投与下での酸素飽和度94%以下または酸素投与を受けているCOVID-19入院患者にremdesivirをコンパッショネート使用し、結果を報告した(n=61)。
結論
53名のデータが分析可能であった。ベースライン時には、57%が人工呼吸を受けており、8%でECMOが使用されていた。フォローアップ期間中央値18日で、68%で酸素投与クラスの改善がみられ、人工呼吸患者30名のうち17名(57%)は抜管に至っていた。25名(47%)は退院、7名(13%)が死亡した。死亡率は侵襲的換気患者で18%、それ以外の患者では5%であった。
評価
エボラやSARS、MERSでも有望とされた薬剤で、この報告においても大半で臨床的改善がみられ、死亡率も先行報告(重症患者で20%前後)より低く抑えられた。当初有望視されたロピナビル‐リトナビルが初期のRCTで有効性を示せておらず、remdesivirへの期待は大きいが、広範な使用にはプラセボ対照RCTを待つ必要がある。