イタリアCOVID-19重症患者のアウトカム:ロンバルディア州1,591例の報告
Baseline Characteristics and Outcomes of 1591 Patients Infected With SARS-CoV-2 Admitted to ICUs of the Lombardy Region, Italy
背景
新型コロナウイルスSARS-CoV-2は、2020年2月後半から欧米各国にも感染を広げ、特にイタリアでは爆発的な感染者増加と高い死亡率が問題となった。イタリアFondazione IRCCS Ca’ Granda Ospedale Maggiore PoliclinicoのGrasselliらは、同国ロンバルディア州で2月20日から3月18日にかけ、ICUでの治療を要したCOVID-19患者1,591名の臨床的特徴を報告した。
結論
年齢は中央値63歳、82%が男性であった。併存疾患データが利用可能であった1,043名のうち、68%が何らかの併存疾患を有し、49%が高血圧であった。呼吸サポートデータが利用可能であった1,300名のうち、99%が呼吸サポートを受けており、88%は人工呼吸器、11%はNIVであった。PEEPは中央値14cmH2O、89%の患者はFiO2が50%以上であり、PaO2/FiO2中央値は160であった。3月25日時点のデータが利用可能であった1,581名のうち、58%はICU入室中、16%はICU退室、26%がICUで死亡していた。64歳以上の高齢患者では死亡率が高かった(36% vs. 15%)。
評価
ICU入室COVID-19患者での先行報告と比しても、イタリアからの本報告は挿管率が高く、低酸素血症の重症度が高いことがうかがえる。イタリアを含むいくつかの国でCOVID-19死亡率が高い理由については、高齢化社会、医療システムの脆弱性、ウイルス変異といった説明が提案されているが、いずれも現段階では仮説にとどまる。