重症COVID-19でのロピナビル‐リトナビル、ベネフィットみられず:LOTUS China試験
A Trial of Lopinavir-Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid-19
背景
新型コロナウイルスSARS-CoV-2による呼吸器疾患、COVID-19に対する有効な治療薬の発見は喫緊の課題である。中国National Clinical Research Center for Respiratory DiseasesのCaoらは、SARS-CoV-2確定かつSaO2が94%以下またはPaO2/FiO2比が300 mmHg未満の入院患者を対象として、ロピナビル‐リトナビルと通常ケアを比較するランダム化比較試験を実施した(n=199)。
結論
臨床的改善(7項目のスケールで2ポイントの改善または生存退院)までの期間は、ロピナビル‐リトナビルと通常ケアで異ならなかった(ハザード比1.24)。28日死亡率は、ロピナビル‐リトナビル群19.2%、通常ケア群25.0%で同等となった。修正ITT解析においては、臨床的改善までの期間がロピナビル‐リトナビル群で1日短縮した(ハザード比1.39)。ロピナビル‐リトナビル群の13.8%では、有害事象により早期に投与が中止された。
評価
ロピナビル‐リトナビルが有効という初期の症例報告があり、先のSARS・MERSに対しても有望結果を残していたものの、本試験では臨床アウトカムの改善を示すには至らなかった。とはいえ感染者が激増するさなかに高品質の臨床試験を実施し、2ヵ月で結果を公表し得たことは特筆に値する。現在、他の候補薬レムデシビルやヒドロキシクロロキンでも臨床試験が進行中である。