敗血症性ショック、初期輸液の完了前に昇圧薬を投与するとよい?
Effects of very early start of norepinephrine in patients with septic shock: a propensity score-based analysis
背景
敗血症性ショックでは輸液負荷と並行して昇圧薬が重要となるが、昇圧薬使用のタイミングを検証した研究はほとんどない。コロンビアUniversidad IcesiのOspina-Tasconらは、混合ICUで昇圧薬を必要とした敗血症患者(n=337)の前向データベースから、最初の蘇生輸液前から1時間以内、または1時間目以降のノルアドレナリンが臨床アウトカムに与える影響を傾向スコアマッチングにより評価した。
結論
昇圧薬投与前の輸液量は、早期昇圧薬群で中央値0 mL、後期昇圧薬群で1,500 mLであり、蘇生の最初8時間での輸液量もそれぞれ1,100 mL、2,600 mLと、早期昇圧薬群で有意に少なかった。急性腎障害および腎代替療法の増加はみられなかった。昇圧薬後8時間、24時間後の総体液バランスは、早期昇圧薬群で低かった。また早期の昇圧薬は、28日死亡リスクの有意な低下と関連した(ハザード比0.31)。
評価
現在のガイドラインは昇圧薬のタイミングについて明確には設定していない。本研究は、超早期の昇圧薬サポートが、輸液量を減らし過剰輸液を改善、死亡率を低下させる可能性も示唆した。あくまで仮説生成研究の段階とはいえ、注目されるアイデアである。


