新型コロナウイルス肺炎、重症患者の臨床経過を武漢から報告
Clinical course and outcomes of critically ill patients with SARS-CoV-2 pneumonia in Wuhan, China: a single-centered, retrospective, observational study
背景
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)は、特に高齢者や基礎疾患のある患者でしばしば重症化し、5%ほどがcritical化すると報告されている。中国Huazhong University of Science and TechnologyのYangらは、2019年12月から2020年1月26日の期間に武漢Jin Yin-tan Hospital集中治療室に入室したSARS-CoV-2肺炎重症患者52名の臨床経過・アウトカムを報告した。
結論
患者の平均年齢は59.7歳で、67%は男性、40%は慢性疾患を有し、98%が発熱していた。ARDSが67%、急性腎障害29%、心筋損傷23%、肝機能障害29%、気胸2%と多くの患者が臓器機能障害を有した。人工呼吸を必要とした患者は71%、院内感染は13.5%で発生した。61.5%が28日目までに死亡した。ICU入室から死亡までの期間は中央値7日であった。死亡患者は高齢で(64.6歳 vs. 51.9歳)、ARDS発症が多く(81% vs. 45%)、人工呼吸を要する割合が高かった(94% vs. 35%)。
評価
現時点でCOVID-19を他の重症呼吸器感染症と区別する特徴はなく、最重症例の基本病態はARDSであり、治療は支持療法が中心となった。また、この報告では大半の患者がHFNC・NIVを受けていたが、これらについてはエアロゾル生成リスクを指摘する声もある(https://doi.org/10.1016/S2213-2600(20)30084-9)。その他、基本的な管理についてはWHOや米CDCのガイダンスが利用可能である。